突っ込んで揺らして引き抜いて

入り口は丁寧に塞いでおいてね?


Skin Milk


何度重ねたって足りない。

目の前の赤い男は臆することなく、真っ直ぐにこちらを見つめて言った。

対する望美はもうだめと言いたいのに言えなくなってしまう。

こんなに純粋に求められて、切ない熱を持て余した瞳で言われて断れる女がどこにいるのかと要ら ない想像をめぐらしてしまう。

聡いヒノエはそれに気付いたのか、ゆっくりと口端に苦笑を浮かべて望美を難なく組み敷いた。

先ほどまでの情事は火種のように彼女の体奥深く、それも中心に近いところでくすぶっているのか 、舌を絡めた口付けだけで望美の吐息が甘くなってゆくのが分かる。


「んん・・・・・・ヒノ、エく」

「そう、俺の名前だけ・・・・・・呼んでて」


とても不思議なことがある。

口付けを重ねる度にどうしてこうも交わす唾液が甘く感じるのだろうかと。

花の蜜のようにいつだって舐めていたいけれど、ただの蜜ならば自分をこんなに煽ったりはしない 。


「お前はいつだっていい香りがするね、望美?」


ちゅと小さく音を立ててヒノエの唇は望美の白い首筋に悪戯を始める。

硬く尖らせた舌先であらゆるところに挨拶をしながら、両手はたわわな果実へ伸びていく。

弾力がありながら滑らかな肌は月明かりの中でまるで光っているようだった。


「あっ・・・・・・んん・・・・・・」


不思議なことはまだある。

望美の白い肌はどうしてこうも芳香を放って仕方ないのかと。

唐から伝わる香木にも負けない、それでいて妖しさを含めた香りは一体どこからもたらされるのだ ろうか。

ヒノエが五本の指総てを使って戯れる白い乳房はとろんとした重みがあるくせに、先端の薄紅に色 づいた部分は硬くとがって更なる刺激を求めている。

だから、今度はそこに舌を絡めてやる。


「ひぁ!」


過敏に反応する望美の体はしなやかにのけぞり返って、ヒノエに胸を差し出すような形になってし まう。

月下に咲き誇る一輪の白百合のようだ、とヒノエは密かに感嘆する。

その花を手折ったのも夜毎咲かせるのも、ほかでもないこの自分だけだということがただただ嬉し い。

比喩でも例えでもなく、神が遣わした尊い娘が乱れる姿を知るのは、この世でこの自分だけ。


「右よりも、左が好きだね、姫君は」

「やっ・・・・・・ちが」

「違わないだろ?」

「は、んぁ・・・・・・そのまま・・・・・・しゃべらな、いで」


ヒノエはわざと先端を口に含んだまま言葉を発する。

すると、舐めるでも甘噛でもなく、不規則な刺激が望美の脳天を駆け抜けて下半身へと反響する。

じれた快感が自分では知りえないところに火をつけてゆくようだ。

体が焦がされて、理性まで溶かして後に残るのは一体なんだろうか。

分かるのは、ヒノエが欲しいということだけ。


「コッチは俺を覚えてるかな?」


鼻歌でも歌いだしそうな余裕を持っているヒノエが時たま憎らしく思える。

我が物顔でこの体を知り尽くしていく彼は、何のためらいもなく望美の中心へと利き手を伸ばした。

触れる前から分かりきっていたが、自分の愛撫で濡れるこの箇所がとてもいとおしく思える。

淫らに粘液を垂れ流す其処は、ヒノエの指が割れ目をなぞる度にさらに敷物に汚れを作った。


「ああ・・・・・・はぁあん」


ヒノエの指の動きに合わせて望美の腰が勝手に動いてしまう。

指ではこれ以上奥には届かないのに、さらに飲み込んで咥えて離さないかのような内壁の動きに、 ヒノエは焦れた快楽がさらに下半身に集中するのが分かった。

入り口から少し奥まったところでくっと指をまげて刷り上げると、甘さを増した高い声が響く。


「やっあ、そこっ・・・・・・や」

「や、じゃないだろ、ほら?」


いつの間にか望美を翻弄する指の本数が増えて、さらに激しく秩序をなくして下腹部でうごめく。

その動きに望美の視界は薄く靄がかかったようになり、つま先からせりあがる波に飲まれてしまい そうになる。

波が、脳天に達する前にヒノエは指を引き抜く。


「んっ・・・・・・」


その刺激でさえ、望美にじれったい快感となり、なんでと問う言葉は喉に落ちる。

翠玉の双眸をしっかりと捕らえてヒノエは言った。


「俺も、気持ちよくなっていい?」


その問いかけは、今まで年不相応な余裕で自分を翻弄していた男が聞いてくるものとは到底思えな いほど無邪気だった。

だから、吹き出してしまったのも無理はない。


「ふっ・・・・・・ふふふ」

「なんだい、姫君?何がおかしいのさ」

「ううん・・・・・・なんか、嬉しくなっちゃッて」


下から見上げるヒノエは女の自分がうらやむくらい色白で、一見華奢に見える体は均整の取れた筋 肉のつき方をしている。

燃える緋色の瞳がこんなに切なく潤むとき、望美は泣きたくなるくらい嬉しくなる。

熊野でも神子でもない、この身一つを、熊野別当でもなく熊野水軍の頭領でもないヒノエが見てく れている証拠だからだ。


「いいよ・・・・・・きて?」


緩やかに、そして限りなく優しく微笑んだ望美を、ヒノエはどう受け止めたのだろうか。

底がない穢れているとも言える欲望を力の限りぶつけても望美はいつも笑ってくれる。

浅ましいと嘲笑っても欲することは止まるわけもなく、加減をしようにも彼女を目の前にすると途 端に理性は彼方へ吹っ飛んでしまう。

冷静や余裕を装っても、皮膚一枚下はいつだってぎりぎりを保っているというのに。


「優しく出来なかったらごめん」


早口でそう言い切るが早いか、それとも貫くが早いか。

ヒノエは性急に望美の中へと入っていった。


「ああぁ・・・・・・んあ!」


待ち焦がれた刺激にきつく眉を寄せる。

ぴたりと密着する二人の間には何もない。

揺れる感覚と暖かな腕が翻弄する中、望美が見たものはこの上なく余裕のない、そしてただの男に なっているヒノエだった。

そのうち、何も考えられなくなって、意識を月に飛ばしたのと同時に腹部に熱いしずくを感じた。




翌朝、目覚めたときにはもう、ヒノエはばっちり起きていてなにやらいかがわしいことを耳に囁く ので、望美はその日一日中、口を利いてやらなかった。




*FIN*






ヤリたい盛りのヒノエくんは17歳。
夜通しで4回戦くらい平気でヤっちゃいそうじゃないですか?(聞くな)